海に行けなかった
海に行く予定だった、仕事を放り投げて
いちばん近くの海を眺めに行く予定だった
会社を出てすぐ、
道端で顔を歪めてぼろぼろ泣いた
すれ違うおばあちゃんがギョッとした顔で
私を見る
猫たちは仲良く2匹並んでいた
海に行けなかった
泣きながら山手線に乗って真っ直ぐ家に帰ることが精一杯だった
泣いてもお腹は空くし泣きながら、とりあえずご飯にウィンナーとマヨネーズを乗っけて食べてすぐ布団に潜り込んだ
知らせを聞いた夫が仕事の合間に帰ってきてくれた 友だちと夫が二度と行かなくて良いそんな会社!もう辞めてええそんな会社!休んでください!と口揃えて言ってくれてありがたくてホッとして、ドクターストップがかかったんでしばらく休みます。と会社と派遣会社に連絡した。涙が止まった
オフィスカジュアル、会社の同じ派遣の人に着たニットバカにされてから毎日ずっと考えるのも着ていくのも嫌だったな。人の服にケチつけんじゃねえ。
毎日電車に乗ってトコジラミ、ウィルス、そういうのに神経尖らせて一回じゃ乗り切れなくて3本くらい電車見送りながら見送っても品川までぎゅうぎゅうの満員電車に乗るのやだったな。
会社に毎日持っていってたペラペラの水入れは家に帰って洗わず捨てた。断捨離断捨離。
何も守ってくれない派遣会社、罪擦りつけてきた営業マン、課長、あの会社にいる人間全員キモかったな。きっしょ。全員地獄に落ちろ。
ひとつひとつやりたかったことを思い出す。
お菓子、作りたい。本とか読みたい。カフェにも行きたい。気になってたケーキ屋さんもそろそろいけるかな。激務すぎて1年くらい行ってない歯医者、そろそろ行きたいな。目覚ましかけずに寝たい。料理もしたいしキッチンもピカピカにしたいし部屋も掃除したい。短歌も書き留めたい。海に行きたい。
その日の夜、小学生ぶりに行ったなか卯がめちゃくちゃ美味しかった。会社行かなくていいと思ったらご飯急に味した。
わたしは極度のうつ状態になると過眠タイプになるので最近はとにかく眠い。寝るか。
明日は何しようかな。